希望がふくらむ毛髪の培養
薄毛を改善するための研究は年々進化を遂げていて、AGAもきちんと治療すればかなりの成果を得られるようになってきました。
AGAのメカニズムもさらに解明されつつありますし、効果のある薬剤も開発されてきているので、民間療法や迷信に頼るか、あきらめるかしかなかったひと昔前と比べると、大きな違いがありますよね。そう考えると、僕もいい時代に薄毛として生まれてきたものです!いや、最初から薄毛じゃない方が嬉しかったですが…
とはいえ、中には治療効果がほとんど現れないケースもありますし、薬剤による副作用で治療を断念せざるをえない場合もあります。
そして改善できたとしても、継続していかなければまた逆戻りしてしまうこともあり、万全とまではいかないのもまた事実。
そんな中、頭皮から髪の毛の素を抽出して培養し、頭皮に注入することで薄毛を治していく、という方法が研究されています。
本当にそんなことができるの!? と驚いてしまいますが、もし実現できたら、薄毛に悩むすべての人の願いである根本治療がいよいよ叶うのです。
これが実現すれば、生涯フサフサでいられることも、夢じゃなくなるかもしれませんね。
目次
毛髪って培養できるの?
現在、再生医療が盛んになってきているのは、あなたも聞いたことがあるのではないでしょうか?
病気や事故で損傷した欠損部分を、ほかの部位の細胞を取り出して培養し、移植することで再生を目指す医療です。
その技術によって皮膚や軟骨、臓器の再生まで試みられ、多くの患者を救いながら、さらに着々と研究が進んでいます。
皮膚や軟骨が再生できるのなら、髪の毛だって再生できるでは?と思うのは当然のことでしょう。
薄毛は命に関わる可能性はほとんどないといっても、やはり僕のような薄毛にとってはかなり気になるところ。
日々のモチベーションにかなり影響しますので、解決できるのであればそれに越したことはありませんよね。
そんな人類の希望を担った研究が、世界中で続々と始まっています。
毛髪を培養するしくみ
では毛髪の培養を使った治療がどんなものなのか、見ていきましょう。
まずは、毛球部毛根鞘細胞(もうきゅうぶもうこんしょうさいぼう。DSCC)を培養させて頭皮に注入する方法です。
後頭部や側頭部の、AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の影響を受けていない部位の毛球部を採取し、その底部にある毛球部毛根鞘細胞を培養させます。
この毛球部毛根鞘細胞は、毛包を大きく育てて毛母細胞の分裂をうながすという重要なはたらきをしているのですが、DHTがそれを阻害することでAGAが進行してしまうのです。
そこで、培養させたDHTが関与していない毛球部毛根鞘細胞を、脱毛した部分に注入していきます。
注入してしまえば、あとは移植された毛球部毛根鞘細胞が、本来のはたらきによって毛乳頭を活性化させてくれるので、自然に髪の毛が生えてくるのを待つだけ。
DHTの影響がない部位の毛球部毛根鞘細胞を使うので、移植後もその部分にAGAが再発することはないとのことです。
また、脱毛が起こっていない部位の毛包から幹細胞を採取し、毛包原基(もうほうげんき)を培養して脱毛部位に移植する、という方法も研究が進められています。
これは髪の毛を作る器官を活性化させる毛球部毛根鞘細胞を移植する方法とは異なり、髪の毛の工場である毛包のもと(毛包原基)をまるごと増やして移植するのですから、より確実性があります。
毛母細胞自体がすでに衰えてしまった状態では、いくら毛球部毛根鞘細胞を注入しても回復が見込めない場合もあるのですが、毛包はそれ自体が髪の毛を作り出す器官なので、さらに期待が持てるというわけです。
おまけに、違う色素の幹細胞を組み込むなどして操作すれば、好みの色の髪を生やさせることもできるというのですから、もうほとんど神の領域といっても過言ではないでしょう。
マウスを使った実験ではすでに成功していますので、あとはヒトを使った臨床試験の成果を待つ段階まできています。
ほかにも、表皮の幹細胞と真皮の幹細胞を一緒に移植する器官原基法や、ノーベル賞で話題になったiPS細胞を使って皮膚細胞ごと培養・再生する方法などの研究も始まっています。
薄毛に悩まない未来が、もうそこまで迫っているのですね!
自毛植毛との違い
これまでも、脱毛が見られない部位の毛根を含む皮膚を切除して、脱毛している部分に毛包を移植する方法はありました。
「自毛植毛」とか「自家植毛」などと呼ばれているものですね。
人工毛と違って拒否反応もありませんし、生着してなじんだ後は移植前の状態をそのまま引き継ぐので、一度植毛してしまえばもうAGAにおびえる必要もありません。
ただし、このやり方では健康な頭皮に傷をつけることになりますし、採取にも時間がかかります。
そして髪の総数は増えることがないので、植毛本数に限界がある上、全体的に薄いタイプには不向きです。
その点、培養する方法では、数本分採取すればドンドン増やして移植することができるのです。
特にiPS細胞は、他人のiPS細胞から細胞を作成することもできるので、コストや手間を度外視すれば、ほとんど髪の毛が残っていない状態でもフサフサによみがえらせることが、理論上では可能になるのですね。
今、日本の毛髪培養研究がアツイ!
こうした研究は、日本の優秀な研究者たちが活躍しているイメージがありますが、実際には国内の研究は立ち遅れていました。
というのも、細胞の培養させる実験では、マウスの細胞だけでなくヒト細胞が不可欠なのですが、研究のためのヒト細胞や組織を入手できる経路がきちんとでき上がっている海外と違って、日本ではそういった仕組みがなく、ヒト細胞を使った実験がなかなかできないからなのです。
いくらマウスと人間の毛包が同じような構造だといっても、DHTによる反応や培養したときの状態など、詰めの部分ではやはりヒト細胞が必要なのですね。
そんな中、アメリカからヒト組織の提供を受けられるようはたらきかけてきたHAB機構を通じてヒトの皮膚組織を独自に入手したり、海外の団体と提携したりして研究を進める企業や大学も出てきました。
そして国の動きとしても、「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするための施策の総合的な推進に関する法律(再生医療推進法)」が2013年に成立し、それを受けて「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」と「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」が相次いで2014年に施行されるなど、法律面においても整備が進んできています。
こうした動きで規制がかかる部分もありますが、これまで品質がまちまちだった再生医療分野に一定のガイドラインができたことによって、より安全に、そしてスピーディに再生医療が提供される土壌ができつつあるのです。
治療を受ける側にとっても、研究を進める側にとっても、大きな進歩といえるでしょう。
これからの課題をチェック
もうすぐ薄毛の悩みのない未来がやってくる!と夢はふくらむばかりですが、毛髪を培養する研究はまだ始まったばかりです。
理論上ではOKでも、本当にすべての人に有効な方法なのか、というところは未知数なのですね。
毛球部毛根鞘細胞を培養させる方法の臨床試験でも、髪の毛の密度を5%アップさせることに成功した被験者は63%ほどだったとのことですが、この数値を見る限り、改善の余地は大いにありそうです。
今後はもしかして、体質や頭皮の状態、健康状態、特定の疾患など、治療に影響をおよぼす要因が発見されるかも知れません。
また、培養中や移植後に変異が起こるなど、予想外のトラブルが起こることも充分考えられます。
深刻なアクシデントが発端となって、このすばらしい可能性を秘めた研究がしぼんでしまわないよう、慎重に臨床試験を進めていかなければなりません。
そのためにも、まだ多くの時間が必要となるでしょう。
それに、細胞の培養には数ヶ月かかるので、たとえ実用化されても一般に普及するのは、当分先のことになりそうです。
そして、やはりコスト面の問題も、大きな気がかりのひとつです。
自毛植毛でも、本数や面積よるものの平均して100万円前後は掛かることを考えると、特に実用化当初は、気安く始められるような治療費ではないことを覚悟しておいたほうがでしょう。
このように、一般の薄毛に悩む人が毛髪を培養する技術の恩恵を預かるには、しばらく待たなければなりませんが、2020年までには実用化が始まるのではないかといわれています。
そのときまで頭皮や健康のケアをがんばりながら今ある髪の毛をいたわり、希望を持ち続けていきましょう!
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ライター情報
近藤 あきら
近藤あきら。薄毛ジャパン代表。25歳を過ぎた頃から頭部に暗雲が立ち込め始め、気が付けば徐々に毛が生えない荒野と化していった。はげを治すべく、育毛剤などを試すも効果が見られず。最後の頼みの綱として、都内にあるAGA専門クリニック『銀座総合美容クリニック(銀クリ)』で治療を受けることを決断。